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歌と踊り 第8番

歌と踊り 第8番(1946)

 歌:アメリアの遺言 El testament d' Amelia
 踊り:糸を紡ぐ娘 La filadora



チェリストのパブロ・カザルス(1876-1973/カタルーニャ出身)
のアンコール曲といえば「鳥の歌」(カタルーニャ民謡/カザルス
編曲)であるが、同郷の大ギタリスト、ミゲル・リョベート(1878
-1938)が編曲した「アメリアの遺言」(カタルーニャ民謡)も当時、
ヨーロッパ中で愛されていたという。「鳥の歌」同様、不朽の名声が
もたらされたその旋律は、今もリョベートのギター演奏により聴くこ
とができる。

アメリアの遺言 リョベート編曲 演奏:リョベート




リョベートは「アメリアの遺言」のほかにも20数曲のカタルーニャ
民謡をギター用に編曲しており、「糸を紡ぐ娘」もある。


糸を紡ぐ娘 リョベート編曲 演奏:Joe Spoelstra





モンポウは、歌と踊り 第8番 を1943年に亡くなったスペインの偉大
なピアニスト、リカルド・ビニェスの追悼のために書いた。ビニェス
が「アメリアの遺言」の旋律を好んでいたからだった。

リカルド・ビニェスがモンポウの 歌と踊り 第3番 を初演したことは
すでに書いた(→こちら)が、ビニェスはリョベートとも親交があ
った。1904年にパリで、リカルド・ビニェスの企画により、リョベ
ートが生涯最初の外国での演奏活動を行っているのである。
きっとビニェスは、リョベートのギターで「アメリアの遺言」を聴い
ていただろう。

歌と踊り 第8番 は、1947年、《リカルド・ビニェスを讃えて》という
曲集に、ホアキン・ロドリーゴ作曲「朱色の塔のかげに」、エルネスト
・アルフテル作曲「リカルド・ビニェスへの涙」とともに収められ、
出版された。

なお、「アメリアの遺言」は、モンポウにより歌曲にもなっている。



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リョベートというギタリストの名前が出たところで、スペインに
おけるクラシックギター(フラメンコギターと区別される)の
歴史を200年ほど前まで遡ってみよう。


■フェルナンド・ソル Fernando Sor(1778-1839)
バルセロナ生まれの作曲家・ギター奏者。
スペインでは「ギターのベートーヴェン」と呼ばれる(ベートー
ヴェンが生きていた時代と重なっている)。
コンサート用の作品を数多く書き、ギターの音楽的地位を高めた。
代表作→「魔笛の主題による変奏曲」


■アントニオ・デ・トーレス(1817-1885)
現在のクラシック・ギターの原型となるモダンギターを製作。


■フランシスコ・タレガ Francisco Tárrega(1852-1909)
トーレスのギターを愛奏し、「ギターのサラサーテ」の異名をとる
ギターのヴィルトゥオーソであると同時に、編曲者としても卓越。
ベートーヴェンやメンデルスゾーン、ショパンらの数多くのピアノ
曲をギター用に編曲している。(特にショパンに心酔していたらし
い。)
自作の代表作→「アルハンブラの思い出」(イエペスの演奏)
ショパンの編曲→「24のプレリュード」より


■ミゲル・リョベート Miguel Llobet(1878-1938)
タレガの弟子。セゴビアが現れるまで、ギター演奏家として随一の名声
を得る。作曲家・編曲家としての業績は、近年になって再評価されて
いる。コンサート、録音において国際的な活躍を続け、ドビュッシー、
ファリャ、ヒンデミットなどに影響を与えた。


■アンドレス・セゴビア Andrés Segovia(1893-1987)
現代クラシック・ギター奏法の父といわれる。
タレガやリョベートのギター作品(編曲を含む)のほとんどをコンサート
ホールで演奏。教育者として後進のギター指導にも大きな功績を残した。
モンポウはセゴビアのために「コンポステーラ組曲」を書いている。


■ナルシソ・イエペス(1927-1997)
演奏法をバイオリンのジョルジュ・エネスコ、ピアノをギーゼキングに学
ぶ。24歳の時、映画『禁じられた遊び』の音楽の演奏を1本のギターだけ
で行い、メインテーマ「愛のロマンス」の大ヒットで世界的に有名なギタ
リストとなった。日本には17回来訪。荘村清志氏はイエペス門下。


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モンポウは、歌と踊り 第13番 に「鳥の歌」を採用しているが、ピアノ
曲ではなくギター曲(イエペスに献呈)である。
なぜピアノ曲として書いてくれなかったのだろうと、残念に思っていた
が、「アメリアの遺言」編曲までのいきさつや、スペインの美しいクラ
シックギターの歴史を知ると、モンポウが「鳥の歌」をギター曲にした
かった理由がわかるような気がする。


歌と踊り 第8番 (演奏:モンポウ)






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