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7月、八ヶ岳へ

八ヶ岳高原音楽堂にて、久しぶりにソロコンサートをします。
プライベートな企画ですが、ご依頼いただいているトラベル懇話会
さんとは10年近いおつきあいとなります。

基本的に親しみやすいプログラムをご用意しますが、
今回はコンサート翌日に、杉原千畝(リトアニアで、ナチス・ドイ
ツの迫害によりポーランド等各地から逃れてきた難民を外務省から
の訓令に反し、大量のビザを発給し6,000人にのぼる避難民を救っ
た)を独り舞台で演じる水澤心吾さんをお迎えするとのことで、
リトアニアの作曲家チュルリョーニスの作品もプログラムに組み入
れることにしました。
また、武満徹は八ヶ岳高原音楽堂にゆかりのある作曲家です。


7月3日【プログラム】

モーツァルト:ソナタ K.331(トルコ行進曲付)

チュルリョーニス:前奏曲 VL187、VL185

シベリウス:もみの木

武満徹:「ギターのための12の歌」より
      サマータイム/オーバー・ザ・レインボー/
      ロンドンデリーの歌/イエスタデイ

            〜〜〜

バッハ:「平均律クラヴィーア曲集」第1巻 第8番 プレリュード

シサスク:「銀河巡礼〜南半球の星空」より
       かじき座、とけい座、レチクル座(冒頭のみ)、宝石箱

ショパン:幻想ポロネーズ









緑が丘通信 & 日経コラム

ウルマス・シサスク来日日記 〜最終回〜

2015年4月27日(月)

来日からちょうど一週間のこの日、シサスク夫妻、そして倉橋さんは
早朝に品川のホテルを出発されました。
私は前日は浦和泊まりで、4時起き。5時過ぎの電車で、秋場君と途中
待ち合わせて、ホテルへ。



シサスクさんは「私たちのプロジェクトはとても上手く行っている。
これからも協力していこう。」と力強く一言。友情が深まったことを
実感しました。思えば、昨年夏に彼と9年ぶりに再会してから、私は
ずっと “シサスク漬け” でした。いえ、もしかしたら9年間、“シサスク
漬け” だったのかも。
取り組むべき作曲家は他にも沢山いるはず・・ですが、作曲家との
つきあいは10年くらい経つと、面白くなってくるのかもしれません。

さてここで、このブログに残しておきたいことがあります。

今回のシサスク・ウィークに向けて、舘野泉さんが月刊誌『ショパン』
5月号の連載コラム「緑が丘通信」と日本経済新聞の連載コラム「あす
への話題」(毎週木曜夕刊)に、心温まるとても貴重な執筆をされま
した。

『ショパン』には、4月23日に舘野さんが演奏された《エイヴェレの
星空》のレコーディング(エイヴェレにて)をされたことが書かれて
います。エイヴェレは昨年、私も訪れた場所。写真で載っているレコ
ーディング・エンジニアと調律師さんは、昨夏のエイヴェレ・ピアノ
フェスティヴァルでもお仕事をなさっていて、私もお目にかかりまし
た。




日経のコラムは、私の知人が日経電子版からピックアップして、メー
ル添付で送ってくれていましたので、その全文をここにご紹介します。



2015/4/2 夕刊 あすへの話題

〜エイヴェレの星空〜

 薄明の中、地平線の彼方(かなた)から長い僧衣を纏(まと)った一群が音も
なく声もなく静かに歩んでく る。鳥も鳴かず風も吹かず、この世にある動
きといえば僧たちの静かな歩みだけ。突然美しい女の人が現れ る。まった
く異なる場所。遠い昔、確かに逢(あ)ったことのある人なのだけど、いま
どうしてこんなに心か ら溢(あふ)れるような微笑(ほほえ)みを湛(たた)えて
私の前にいるのだろう。
 夢だったのだ。しかも色彩鮮やかな夢。窓の外を見やると、くっきりと
澄みきった朝景色のなかに、地平線 の遥(はる)か彼方までただ平坦(へいた
ん)に、音もなく風もない静かな風景が広がっている。中世からそ のまま
取り残されたような眺め。エストニアの首都タリンから南80キロほどの
ところにあるエイヴェレの荘 園だ。周りには何もなく、荘園の周囲を囲ん
だ巨木の群れさえ葉音もさせない。眠ったような古い村エイヴェ レ。昔は
ドイツの飛び領地だった。いまこの荘園は国定の保護地域となっている。
 ここで3日間のレコーディング・セッションをしている。エストニアの
作曲家ウルマス・シサスクの新作 「エイヴェレの星たち」。エイヴェレの
惑星、オーロラ、彗星(すいせい)、流星群などと名付けられた、全 6曲で
約50分かかる壮大な星空の絵巻だ。ロシア正教の儀式で僧と会衆が交互に
歌いかわす、ほとんど呪文 のような祈りもある。激しく流星群が飛び交う
その奥には深い沈黙。そして鮮やかに揺れ動くオーロラ。今月 23日にシ
サスク夫妻が初来日して、東京・大手町のホールでこの「エイヴェレの星
たち」や彼の室内楽曲と 合唱曲が演奏される。シサスク本人は星の王子か
バオバブか。夫人は40代の美しい人。パン焼きの名人でも ある。

__________________________________

2015_4_30 夕刊 あすへの話題(ピアニスト 舘野泉)

〜宇宙の灯台〜

 15年前、演奏旅行に行ったエストニアの首都タリンの街角でウルマス・
シサスクに偶然出会った。初対面である。その頃既に国際的にも注目され
ていた作曲家であったが、街中でみる彼は孤独な山男のように頼りなげで
あった。彼の背後には幾億の星の輝きが見えたが、なんだかバオバブの樹
のように不思議な姿もあった。

 暫(しばら)くして私は脳出血で半身不随に。彼ともまったく接触が途
絶えていたが、3年前に再びエストニアで演奏した折に「エイヴェレの星
たち」という曲を書いて献呈してくれた。楽譜には片仮名でシサスクと記
してある。一聴、万華鏡のように華やかな曲であるが、底辺に漂う哀感は
むしろ伊福部昭の名曲「七夕」を想(おも)わせた。

 翌年、彼は「Quasars~宇宙の灯台~」というピアノ協奏曲を書
いてくれた。演奏に45分はかかる超大作。宇宙と交信するシャーマンのよ
うなエネルギーを感じる。クエーサーとは非常に明るい核を有する活発な
銀河。その異常な明るさは巨大なブラックホールのすぐ近くに表れ、宇宙
の灯台のように目立つという。

 日本が大好きなシサスクを招待するために、エストニア音楽を精力的に
紹介しているピアニスト秋場敬浩、吉岡裕子の2人とともに「バオバブ座」
を立ち上げ、作品個展とピアノ協奏曲の世界初演を計画した。オーケスト
ラは坂入健司郎指揮の東京ユヴェントス・フィルハーモニー。今月末に東
京で行ったふたつのコンサートに満場の聴衆は熱烈な拍手。シサスクも幸
せいっぱいだった。でも、東京では星空が見えないと寂しそうで、一夕鎌
倉に行ったのが印象的だった。


__________________________________

どちらのコラム連載もまだ継続中ですので、入手出来る方は、今後も
ぜひお読みになっていただけたらと思います。


シサスク・ファンが増えてくださっていることを願いつつ、これにて
「ウルマス・シサスク来日日記」を終了します。
遅々として進まぬ拙い日記におつきあい頂きまして、ありがとうござ
いました。



『Quasars〜宇宙の灯台』世界初演

ウルマス・シサスク来日日記 〜8〜

2015年4月26日(日)

シサスク氏来日期間中のクライマックスとなったのは、彼の作品の
世界初演でした。


宇宙の灯台


東京ユヴェントス・フィルハーモニーは、もとは2008年に「慶応義塾ユ
ースオーケストラ」として結成されたオーケストラで、指揮者は坂入健司
郎さん(27歳)。指揮法を小林研一郎、井上道義ほかに師事。数多くの
日本初演、世界初演を手がけ、精力的に活動されています。
特に舘野泉さんとはこの数年間、共演を重ねており、

「常に旺盛な好奇心と意欲、若々しいエネルギー、よい音楽とともに
生きようという情熱にはいつも感動している。技術面での向上も著し
い。」

と舘野さんより高い評価を得ています。

この日は東京ユヴェントス・フィルハーモニーの定期演奏会ということ
で、前半はベートーヴェンの交響曲 第1番、第2番が演奏され、後半は
次のような興味深いプログラム(合唱は、東京ユヴェントス・フィルハ
ーモニー合唱団)。素晴らしいコンサートでした。


シサスク:

無伴奏混声合唱のための《ベネディクティオ》

ミサ曲 第3番《エストニア・ミサ》より「サンクトゥス」

左手のためのピアノ協奏曲『Quasars〜宇宙の灯台』(世界初演)

__________


世界初演となった『Quasars〜宇宙の灯台』は、30分を超える大曲。
初めて聴くその作品は予想以上に印象深く、食い入るように聴きまし
た。オーケストラの多彩な響きの中にピアニストが包まれるように存
在していて、なんと神秘的な宇宙との交信が行われていたことでしょ
う。ピアノの音に重なるオーケストラ、しかも生演奏での音に、シサ
スクの宇宙観を改めて感じることができ、彼のとてつもないライフワ
ークにさらに期待が膨らみました。

プログラム解説より、楽章構成を転記させて頂きます。
反転文字をクリックするとクエーサーや銀河の画像にリンクします。

第1楽章『序奏』
第2楽章『シャーマンのクエーサーへの旅』
第3楽章『コンパス座の銀河(ESO 97-G13)』
第4楽章『HE 0450-2958』(パッサカリア)
第5楽章『HE 1239-2426
第6楽章『知られざる(名も無き)クエーサー』
第7楽章『NGC 4258(M106)
第8楽章『故郷への帰還』
第9楽章『終曲』


__________



終演後、「バオバブ座」(秋場君、私、舘野さん)の記念撮影をさせ
て頂きました。





舘野先生、ありがとうございました。









「天文ガイド」創刊50周年号

シサスクさんと日本科学未来館を訪れたことは先に書きましたが、
毛利衛さんと面会した後、月刊誌『天文ガイド』さんの取材を受
けました。

シサスクさんにインタビューして下さったのは、中野博子さん。
中野さんは2012年1月号にも次のような記事を掲載して下さい
ました。





今回の取材翌日の4月23日のコンサート “星を聴く人、ウル
マス・シサスク” にもお運び下さり、シサスクさんの音楽の世界
を感じてくださった中野さんが、今回、ふたたび素晴らしい記事
をまとめて下さいました。
シサスクさんが自宅(フィンランドのトゥルク)で愛用の天体
望遠鏡とともに写っている写真も載ってます!


『天文ガイド』さんは、この7月号で創刊50年とのことで、その
中に載せていただけたことは大変光栄なことです。
今年は戦後70年ですが、天文ファンの活躍(新彗星発見など)は
終戦2年後にして復活していたとのこと。
当時は今よりずっと星が見えていたことでしょう。

シサスクさんは記事の中で、日本の皆さんへ次のようなメッセージ
を伝えています。

「美しい星空がいつまでも見られるよう、街灯を制限したり、空
気をきれいに保つように努めること・・それが私の願いです。日
本でもそうあってほしいと願っています。」





『天文ガイド』7月号、好評発売中です → こちら




室内楽コンサート

今度の日曜日に高崎にて、コンサートに出演します。
プライベートな企画なので宣伝をしていませんでしたが、近況の
ご報告として。




「金子園コンサ-ト」チラシA5



[プログラム】

エルガー:気まぐれな女 Op.17(ハイフェッツ編)
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 K.423
テレマン:無伴奏ヴィオラのための「ファンタジア」第7番
スメラ:1981年の小品

〜〜

ビーバー:無伴奏ヴァイオリンのための「パッサカリア」
ブラームス:ホルン三重奏曲 Op.40(ヴィオラ編)






鎌倉散策

ウルマス・シサスク来日日記 〜7〜

2015年4月24日(金)

コンサートの翌日、私はさすがにフラフラでしたが、元気を出し
て、鎌倉へ観光案内しました。鎌倉は私の祖父母がかつて住んで
いたところでもあり、懐かしさと新鮮さを楽しんできました。


シサスク夫妻は品川にご宿泊でしたので、電車一本で鎌倉へ。
鎌倉では鶴岡八幡宮を訪れることももちろん検討しましたが、
江の電に乗ってもらうのも面白いかと思い、鎌倉大仏と長谷寺へ。




見事な五月晴れ。大仏の中にも入ってみました。





長谷寺では牡丹の花が見頃で、メーリエ夫人が嬉しそうでした。
本尊、観音堂では、十一面観世音菩薩像をしばらくの間、静かに
見上げて、ひんやりとした空気の中に何か深いものを感じ取って
いたようでした。





お昼は名物の「しらす丼」を。
ふと立ち寄ったお店が、昭和のレトロな風合いで、シサスク夫妻は
大喜び。





鎌倉らしい和の器のお膳を写真に収め・・
お二人ともお箸を上手に使われ、シサスクさんはしらす丼に塩味が
足りなかったようで、お醤油を注文。(笑)

偶然見つけたお店ですが、良いところに入れて良かった〜。


昼食の後は、北鎌倉の円覚寺に。
連日、人の多い東京ばかり歩いていた夫妻に、緑多い閑静な鎌倉で
リラックスしていただきたかったので・・。




入山券にアゲハチョウ。
これを見て、メーリエ夫人は「おー!ユウコだわ! きっとここに来る
ようにって呼んでいたのよ」と。
(私のことを「蝶(エストニア語でリブリカス liblikas) のイメージ」
と言っているお二人です。)





チャーミングなメーリエ夫人。
お抹茶にトライ。(円覚寺境内内)
苦ーいお茶と、甘〜い落雁に ですって。

日本の食事にはどんなものでもトライして、美味しいとおっしゃるので
びっくりです。



お二人が帰国後しばらくして・・

リブリカスを見つけた! とメールをくださいました。




Urmas LIBLIKAS


とのことです www



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