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神秘な美

このところ、かなり真剣。

モーツァルトという天才と音楽を通じ、向き合う。
ショパンという天才とも向き合う。


向き合うとはどういうことか。

−−− 彼らの楽譜をよ〜く読むことである。


当たり前のことでしょうけれど、これが、いまの自分の素直な答え
です。
二人の天才の作品を弾きこなすことは、当然、容易ではありません。
でも恐れているだけではいつになっても進歩しないので、自分なり
に楽譜をじっくりひたすら観察しています。

スラーの位置、スラーの有る無し、スタッカート記号の種類、アクセント
の種類、クレッシェンドやディミヌエンドがなかったら抑揚は抑制するのか、
繰り返される度に違った指示のあるフレーズを良く見比べること、
con forza と ff、sotto voce と pp を使い分けているのはなぜか、
f と p しかない場合に、mf に近い f の音色も取り入れてみる・・etc..

根気よくこうしているうちに、ひょっとしたら・・? と急にひらめくかの
ように新しい解釈も生まれてきます。
モーツァルトはショパンほどの細かい指示はありませんが、遊び心のある
アーティキュレーション、スタッカート(の種類)などを丁寧に弾き分ける
うちに、良いテンポも見つかり、テンポを崩さずとも(メトロノームに合わ
せていても)豊かな歌う音楽がほとばしるようになります。これはショパン
を弾くよりも楽しかったりして。


           ☆☆☆


IMG_0146.jpg



今日はアトリエミストラルさんに出かけ、プレイエル・ピアノを弾いて
きました。じっくり向き合うこと2時間。

驚きました。プレイエルの鍵盤のタッチ、音色の種類はとても多様で
(我が家のピアノの10倍くらい!?)、モーツァルトとショパンを
ほとんど苦労なく、弾き分けることができました。

ひとしきりモーツァルトのソナタを弾いた後での、ショパンのマズルカ
やノクターンは、ぱっと違う音色に変わったのです。

普通は楽器にうまく反応し、音を作っていかなくてはならないのに、
楽器の方が曲に合わせて、勝手に反応したのかと思ったほどです。
魔法みたいで、おもわずニンマリ。
ノクターン 第1番の14〜15小節にも及ぶ長いペダルは、そのとおり
使えるだけでなく、その状況で smorz.(だんだん遅く消えるように)
も理想通りにできてしまう!


           ☆☆☆


モーツァルトの素晴らしさは、先人たちに言い尽くされているし、
良い演奏というのはある程度、決まっているかもしれません。神様の
ようにさえ思われるモーツァルト・・。
もしかしたらモーツァルトが怖いのではなく、世間のモーツァルト演奏
に対する評価の方が怖いのかも。

今回、モーツァルトと向き合うために、書物を読みあさったり、ピアノ
協奏曲やソナタ、室内楽を片っ端から聴いたりもしています。

モーツァルトがどんな人だったかを知るのに、最も新鮮な感動を得ること
ができたのは、「モーツァルトの手紙」です。

そんな折り、別の本で、吉田秀和さんが書かれた次の文章に、非常に共感
したので引用させていただきます。(抜粋し、組み合わせてます)

「いかに人間モーツァルトが、少年時から35歳という歳で死ぬまで一貫
して活発な生活感情と、こまやかでゆきとどいた思いやりと、鋭敏で客観
的な描写力と、そうして少しの誇張もなしに他人と同じように自分を観察
し、表現する能力を持ち合わせていたか。モーツァルトという人間が、
いかに生き生きと(恐ろしく生き生きと)生きていた人間であったか。
彼の音楽が鳴り響いているとき、そこに正真正銘のモーツァルトがいる。」


           ☆☆☆


さて、タイトルに記した「神秘な美」についてですが、バッハの平均律の
演奏で私が敬愛しているピアニスト、エドウィン・フィッシャーさんが書かれ
た「音楽を愛する友へ」という本に、ショパンについてのこんな文章があり、
そこから使わせて頂きました。



「そこには二脚の燭台のついて美しいプレイエル・ピアノが置かれていた。
そして、友人たちが食事をとっている間に、彼の長くて痩せているが美しい
手が、さっと鍵盤の上を走った。と突然、序奏のひびきのなかから、ポーラ
ンドの憂愁とフランスの優雅とが渾然として融け合った一曲のマズルカが
流れ出たのである・・かぎりなく優しく、かぎりなく気高く。いまやまわり
のものは彼の脳裏から消え失せてしまい、彼はただ赫耀たる光輝と凱歌の
なかに(中略)彼の祖国ポーランドを見つめていたのである。

彼はどれほどピアノを愛したことだろう。(中略)彼は決して楽器の能力を
超えたものを要求したことはなく、楽器そのものの中にかくされている
神秘な美のすべてをそこから誘い出したのであった。」



「楽器そのものの中にかくされている神秘な美」

今日は、その深い意味を感じ取りました。かくされているものを
もっと知りたいと思いました。




モーツァルト&ショパン

チラシ表_2


チラシ裏


来たる10月11日(日)、新しい試みをスタートします。

主催してくださるアトリエミストラルさんがこのような素敵な
ちらしを作って下さり、Facebookのイベント欄に、下記のように
紹介文を載せて下さいました。

______________

プレイエル~神秘な美への誘い~ モーツァルト&ショパン Vol.1
吉岡裕子ピアノコンサート・シリーズ

アトリエミストラルの1905年製プレイエル3bisでモーツァルトの
ソナタとショパンをお送りします。
吉岡裕子さんが今年1月アトリエミストラルにご訪問され、プレイ
エルを弾いたときからモーツァルトとの相性の良さを感じた、と
いうお話を聞き、吉岡さんの夢でもあった「モーツァルトソナタ
全曲コンサート」の第1弾です。

また、イグナツ・プレイエルの小品を1曲ずつ聴けるのも楽しみの
ひとつです。

~以下、吉岡さん談~
プレイエルを創ったイグナツ・プレイエルは、モーツァルト誕生の
翌年に生まれ、ショパンが21歳になるころまで生きた人でした。
ハイドンの弟子で、作曲家でもあった彼の作品をモーツァルトは
絶賛しています。
ひょっとすると、イグナツ・プレイエルはモーツァルトとともに
生きた人であるからこそ、モーツァルトの作品を最も美しく奏でられ
るピアノを創ることができたのかもしれません。 

ショパンにとってモーツァルトは遠い過去の人ではありませんでした。
ショパンはモーツァルトを自分と同類の古典的ロマン派の音楽家と
して敬愛し、プレイエルで彼のピアノ作品や室内楽をよく弾いてい
ました。そんなショパンの作品をプレイエルで弾くときには、彼の
記譜をより忠実に読み取っていくことが重要であると再認識しました。
ショパンがどんな風に自作を弾いていたか、楽譜上にどんなメッセー
ジを残したか、プレイエルを弾くことで解き明かされることがあれば
嬉しく思います。 (以上)
 

その時代、作曲家、楽器と楽曲に真摯に向き合い、表現しようとする
姿を間近に感じ、その演奏を聴ける歓び。アトリエミストラルの空間
と雰囲気の中で繰り広げられるひとときを是非、みなさんと共有した
いと思います。

◆日時◆
2015年10月11日(日)15:00開演 14:30開場(全80席)

◆プログラム◆

イグナツ・プレイエル
 鍵盤楽器のための18の小品 B.6524より第1曲 ハ長調 B,319/ⅱ

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
 ピアノソナタ第1番 ハ長調 K.279
 ピアノソナタ第11番 イ長調(トルコ行進曲付き)K.331

フレデリック・ショパン
 4つのマズルカ Op.6
 ノクターン第1番 変ロ長調 Op.9-1 ~プレイエル夫人に捧ぐ
 24の前奏曲 Op.28 ~カミーユ・プレイエルに捧ぐ
  第15曲 変ニ長調〝雨だれ”
 バラード 第3番 変イ長調 Op.47

◆入場料◆
 一般:2,500円(当日3,000円)高校生以下:1,500円

◆主催・チケットご予約・場所◆
アトリエミストラル
 090-8047-3757(櫻井)
 高崎市下小鳥町312-4


______________

モーツァルトのソナタ全曲コンサートの第一弾とご紹介いただき
ましたが、あくまで夢であり、途中でくじけるかもしれません。
ショパンの方は、マズルカを全曲制覇したいのですが、これも夢に
終わるでしょうね・・でも、どちらも今、弾きたくてたまらないし、
精一杯努力します。

調律は、名取孝浩さんです。
2001年のリサイタルでの出会いから、私が最も信頼している調律師
さんです。
当日は朝早く大宮から高崎に駆けつけて下さいます。大変心強く
コンサートは半分成功したような安心感です。

プレイエル~神秘な美への誘い~ と題したのは私ですが、その
理由についてはまた書きます。




星空からのメッセージ

前橋での2回の演奏を無事終えました。
温かいご支援を賜わり、心より御礼申し上げます。

今回のコンサートは、星空からのメッセージと題しながら、
シサスクの曲だけではありませんでした。
シサスクの「こと座」で静かに星空の世界へ(映像もあり)
入っていきましたが、バッハ、メンデルスゾーンへと繋げました。
これは新しい試みでした。

こと座を弾いた後、

「シサスクにはシサスクの世界がありますが、クラシック音楽
の歴史に名を連ねる天才作曲家たちにも、それぞれに音楽宇宙
ともいうべき世界がある。彼らはどこか遠い星からやって来て、
音楽によって、大切なメッセージを残したのかもしれない…」
などとトークしました。

1920年製の85鍵のベヒシュタインでしたので、ベヒシュタイン
を愛奏したリストやドビュッシーの名曲を、彼らの時代に
タイムスリップした気持ちで弾きました。
ドビュッシーの「喜びの島」は、85鍵の端から端まで(ラ〜ラ)
をフルに使うことになり、最後の瞬間に注視して頂きました。

…と、最後まで弾いた感想を書くつもりはありません。



今回は私にとって新しい土地での、大切なコンサートでした
が、実はお客様はわずかとなってしまい、力不足を痛感しています。
このようなことは普通は書かないものでしょうけれど、
自分に鞭打つつもりで…。

新しいスタイルでのコンサート「星空からのメッセージ」は
試行錯誤と努力を重ねていきたいと思います。




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